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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(11)

ここでもう一度問いたい。「ニックスとは何だろうか?」

僕は、「ニックスとはインブリードである。」

補足として
「インブリードの弊害を避けるため、近似血統の運用まで含めた」と仮定したい。

ただ、サラブレッドのインブリードに本当に弊害が有るのか、と問われれば、僕には判らない。
古今、多くの馬産家や専門家の議論も僕なりに把握しているが、それなりに根拠があり評価は難しい。
例えばテシオは著書において否定的な見解を述べている。
(でも、テシオは結構強いインブリードをしてる。BotticelliとかBurne Jonesとか買ったのならDuccia di Buoninsegna。単純に△×△とか血量とかではテシオは分かんないだけど。)
ただ、彼は豊富な経験を持つが学者ではない。実地に得られた知識は大いに評価されてしかるべきだが。
参考までに、クワガタのような昆虫でも意見は分かれるようだが、多くは否定的に捉えられている。
やはり有性生殖のメカニズムを考えると、否定的に考えるほうが理に適うのではないだろうか。
ただ、近親繁殖そのものが有害なわけではないと思う。
近親繁殖において、好ましい因子のホモ化による固定化だけが行われるわけではなく、有害な因子の固定化も行われる。
そして有害な因子の除去の為に淘汰が行われる。
馬のような動物の場合、野生では近親繁殖は普通に行われるだろうし、結果、長い野生時代に致死因子はとうに淘汰されていると思う。
しかし、サラブレッドのように雑種で、あくまでも生存の為ではなく競馬に適した因子を固定化したい場合、興奮しやすい性質であるとか、反抗的、臆病な性格、野生ではさほど生存に影響しない身体的欠陥(足曲りなど)のような因子はまだ充分な淘汰をくぐり抜けていない為、それらが有用な因子と分離されず固定化されるので、近親繁殖の際に弊害があるように見えるのではないか。

かくして、育種において好ましい因子は固定化したいが、累代の弊害を避けたい。このジレンマを一定解消するために、意図的にか、神の見えざる手によってか、近似血統の活用が歴史的に行われた。
そして、二アリークロスによるインブリードが良好な結果を生み出したときに「ニックス」と呼ばれたのではないだろうか?

今まで見てきたとおり、近似血統を活用したインブリードは2×2などの強度の場合でも、対象馬が5代血統表の外へ移動してしまうため、一見すると気づきにくくなる。
「5代」という数字にはさして意味は無いが、扱いやすい大きさの紙の上で血統表を書くと、このくらいが一覧性という紙の利点の限界のように感じる。
その点、ヴィリエや五十嵐氏(たぶんテシオ、オルストン場長、ウェバートリー卿、ブサック、エドモン・ブラン、オリン・ジェントリーなども)は、どんな場所でどんな大きさと枚数の紙を使って血統表を書いたのかとても興味深い(ヴィリエの仕事を考えると気が遠くなる…)。

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