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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(20)

前回までに

Touchstone≒Cowl≒My Dear≒Miss Ann≒Pocahontas≒The Flying Dutchman≒Planet2≒Delhi

であることは述べた。そして、その共通要素である、

・Whalebone(≒Web)
・Selim
・Orville(≒Orvillina)


について見てみよう。

Whalebone≒Web≒Pawn Junior(≒Whisker≒Wire)
whalebone.jpg

Selim≒Bronze(≒Castrel≒Rubens)
selim.jpg

Orville≒Orvillina
orville.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

解りやすい近似血統ではないだろうか。

Whalebone≒Web≒Selim≒Orville≒Orvillina

ということだ。

もう少し詳しく分析すると下記のような共通項がある。

・Eclipseが3代目に1つある
・Herodのインブリードがある(しかも当代で)
・Herodの経路に1つHighflyerがある


更に3血統は、
「Eclipse、Herod、Highflyerがすべて異なるルート」
なのである。
「ルートが異なる」ということはそれだけ近縁度が下がり、クロスを重ねたときに安全性を増すだろう。
また、それらEclipse、Herod、Highflyerだけが強調される事になる。
安全性よりもこちらの方が重要なのかも知れない。

「Whalebone(≒Web)×Selim×Orville(≒Orvillina)のニアリークロス一覧」

Touchstone:2*3×3
Cowl:3*5×4
Pocahontas:3*3×3
The Flying Dutchman:3*5×3
My Dear:3*5×4(*3)
Miss Ann:3×4*5
Planet2:3*4×3(*4)
Delhi:3*4×1


これもTouchstone、Pocahontasの影響力の強さの秘密かも知れない。
しかし、侮れないのがPlanet2、Delhi。
Delhiは後の影響力を考えたら理解も出来るが、Planet2はよく分からない。
デルマによれば産駒数も少ないし、恵まれなかっただけでもしかしたらポテンシャルは高かったのかも。

追記:
3血統ともMatchemが4代目に、Whalebone、Selim血統の4代目にSnapがある。
この2頭は後述する事になるニックスと大きく関わりながら、
このEclipse、Herod、Highflyerのニックスの成立を底上げしていく事になると考えられるが、
今は触れないでおく。






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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(19)

寄り道をもう一丁。
St.Albansはセントレジャー馬で、直仔のSpringfield~孫のSainfoinSierraを通じて大きな影響を残した。Persimmonの母系でも良い仕事をしている。

St.Albans
st-albans.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

母父The Libelの母はTouchstoneの全妹Pasquinade。
故にTouchstone×Pocahontasがここでも成り立つが、Touchstone自身ではないのが有用。
St.Albans~Springfield~Sainfoin≒SierraからRock SandSundridgePhalarisへの配合の流れは興味深いのでそのうち触れるかも知れない。今回はそのための種まき。



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tag : 配合 ニックス インブリード Rock Sand Sundridge Phalaris

新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(18)

(Whalebone≒Web×Selim)×Orville≒Orvillina

の分析に入っていく前にちょっと寄り道。
ホントはもっと寄り道して論理を補強しながら進みたいんだけど、
取り敢えず骨格になる部分を提示して、それから各論的に進めた方が良い様に思うので。
でも、Donatelloに本当に戻って来ることが出来るかな。DonatelloからAlycidonに進めて、ダービー卿や、テシオ、アガ・カーン、ブサックの配合論にまで繋げてみたいんだけど。
まあ、それは置いといて今回は休憩でLord Lyonの曾祖母。

Lord Lyonの曾祖母Delhiは名門中の名門の祖となるが、実は彼女自身がまた、Touchstoneと近似血統なのである。
つまり、

Touchstone≒Cowl≒My Dear≒Miss Ann≒Pocahontas≒The Flying Dutchman≒Planet2≒Delhi

ということになる。
しかも、他の近似血統とは違うルートでその要素が供給されている。
DelhiからBend Orに至る配合を見ていくと、その希少性を活かして後に大きな影響力を発揮していく理由がよく分かる。
父のPlenipotentiaryは名馬で、本論の重要牝馬My Dearに配されて、Sterlingの父Oxfordの母Honey Dearも出している。

Delhi
delhi.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

だから、Lord Lyon自体は本来、
[Pocahontas×Touchstone*Delhi] 2×3*3 というニアリークロスと表現すべきかも知れない。
そしてLord Lyonの母Paradigmこそ、[Touchstone×Delhi]2×2と言う、また別のニアリークロスパターンだと言える。


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tag : 配合 ニックス Lord Lyon Bend Or

新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(17)

St.Simon登場前夜の世界を見てみよう。

英ダービー馬(1865~1875)
1865  Gladiateur
1866 ★Lord Lyon [Pocahontas×Touchstone] 2×3
1867 ★Hermit  [Touchstone×Cowl] 2×3
1868 ★Blue Gown  [Touchstone×Pocahontas]3×3*3
1869  Pretender
1870  Kingcraft
1871 ★Favonius  [Touchstone×Pocahontas]4×3
1872 ★Cremorne [Touchstone×Pocahontas]4×3
1873 ★Doncaster [Pocahontas×Touchstone] 2×4
1874 ★George Frederick [Touchstone×Pocahontas]3×3
1875  Galopin

上の表はTouchstoneとのニックスによる英ダービー馬。
1865年から1875年で切ったのは、それ以前は見られないし、それ以降になると複合的になり、次のニックスに移行していくから。
どうだろうか。とてつもない頻度で、当時のホースマン達はこれ以外の配合は考えられなかったのでは無いだろうか?
当然、2着、3着まで入れればもっと増えるし、2000ギニーやセントレジャーも合わせて分析すると更に面白い傾向が解る。

このような血統状況がGalopin、St.Simon親子に待っていたのである。
また、SterlingやHermit、Scottish Chief、The Palmer、Rosicrucian、Chanoinesseにとっても、前の2頭ほどでは無いが有利な状況だろう。Touchstoneは持つものの近縁度はかなり下がり、Pocahontasを持たないが故にそれを活かして次のニックスへ移行していった。
つまり、Touchstone×Pocahontasが蔓延し、それ同士でもけっして悪くはないが、疑似PocahontasであるCowl、My Dear、Miss Annの血の方がより安全に「有用な資質」を固定できるからだ。

Doncaster×Cremorne
doncaster×cremorne
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

「決して悪くはない」事を、感覚的につかむ為にDoncaster×Cremorneの仮想配合をしてみた。
実際には牝馬を通ったり、世代を経るのでもう少し遠くなるし、場合によっては、こちらを優先的に使用した方が有用なことも多いだろう。
例えば、系統繁殖などウェバートリー卿のハウス種牡馬のようなケースだろうか。
しかし、Touchstone×Pocahontasのダービー馬で成功したと言えるのは、Doncaster位のものなので、やはり不利なのではないか。
確かにFavoniusはダービー馬も出したし、Cremorneは母系に入って良い影響を残した。
それでも同世代のHermitや、2000ギニー2着に過ぎないSterlingに比較すると物足りないように思う。ただ、ダービー馬が成功することは少ないと言えばその通りなのだが。



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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(16)

前回までに、

Touchstone≒Cowl
                      ≒My Dear
                      ≒Miss Ann
                      ≒Pocahontas
                      ≒The Flying Dutchman
                      ≒Planet2


であることは説明したが、では何故、等価であるはずの近似血統において、この時期Touchstoneが中心となるニックスが成立したのか。

前回の血統表参照。

血統表を比較してみると、
・Touchstoneだけが、Waxy×Penelope血脈をWebではなくWhaleboneルートで受けている。
・The Flying Dutchmanだけが、Orvillinaルート。
・Cowl(つまり、My Dear、Miss Ann、Planet2も)、The Flying Dutchmanは父がBay Middleton。

こうしてみると、同じ血統成分を受けながら、Touchstoneがこの中でもっとも血縁的に遠くなる。
一見、The Flying Dutchmanも、1頭だけOrvillinaルートなので同じように見えるが、Touchstoneだけが、父Camelなので、Selim血脈も別ルートになる。結果、インブリードのメリットである「有用な資質の固定化」を行いつつ、悪影響をもっとも避けやすいのはTouchstoneと言うことになる。
これが同じ血脈を受けながら、このニアリークロスのニックスがTouchstoneに集中して組み立てられる理由であると考える。

また、Pocahontasの子孫が他の同血牝馬、My Dear、Miss Annの子孫に対して、有利な状況を作り得たのも同様に父がGlencoeであった為と考えられる。
この事も「Touchstoneの優位性」の推論を補強していることになるのではないか。

また、Touchstoneがこの状況を活かして有力な血統に浸透していった結果、今度は状況が反転して、The Flying Dutchmanの希少性とKing Tomの希少性を持ったGalopin、St.Simon親子が台頭したと考える。
St.Simonは1881年生まれであるが、この時代に有力な血統にあって「Touchstoneを持たない」という希少性とニックス要素「Pocahontasのみクロスする」という事がどれほど有利であったか。
事実、St.Simonの代表産駒の母は「Touchstoneを持ち」、「King Tomを持たない」。

これは、St.Simonの代表産駒を調べれば一目瞭然であるが、ここでは取り敢えずPersimmonSt.Frusquinを挙げておく。

こうしてみると、ときに言われるような、ただの「マイナー血統」、「異系血脈」であれば良いわけではないのが分かる。
求められるのは、時代や地域という「状況の有利さ」を活かせる、優秀な「ニックスの根拠」を持った、「希少性の高い」血統と言える。

補足として、「Touchstoneの優位性」にはその生年にもあったと考えられる。
Touchstoneは1831年生まれだが、下のように、
Pocahontas以外すべてTouchstoneより10年以上遅く生まれている。

1837年生 Pocahontas 
1841年生 My Dear
1842年生 Cowl
1844年生 Planet2
1846年生 The Flying Dutchman
1846年生 Miss Ann


Pocahontasは牝馬であり、年に1頭しか仔が産めない。そのため種牡馬と比較するとその影響力は限定的であり、本格的に血統地図に影響力を発揮するのは次世代以降となる。となると、事実上10年遅いと考えても良いだろう。

次項以降で述べることになると思うが、Touchstoneはその血統を構成するニックス

(Whalebone≒Web×Selim)×Orville≒Orvillina

を最も早く達成したが為にそれ以前のニックスと強固に結びつき、後発のCowlなどの同様のニックスに対して有利な立場で待ち受ける事が出来た。







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tag : 血統 配合 ニックス インブリード 競馬 テシオ 相似

新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(15)

ここまで見てきて、このニックスはTouchstoneを中心に出来上がっている。
(St.Simon、Upasの様に、少数ではあるが、Pocahontas≒The Flying Dutchmanを活かしたものもある。そして、前者が爆発的な成功を収めたり、後者がOmniumKsarを通じ現代に影響力を残せた理由もここにあると思われる。)

Touchstone×Cowl≒My Dear≒Miss Ann≒Pocahontas≒The Flying Dutchman≒Planet2

と言うように。

では、何故、Touchstoneはこれらの血統と、一方的と言っても良い程のニックスを構成し得たのだろうか?

Touchstone
Touchstone@w.jpg

Cowl
cowl@w.jpg

Pocahontas
pocahontas@w.jpg

The Flying Dutchman
the-flying-dutchman@w.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

■Cowl≒My Dear≒Miss Ann≒Planet2は、Bay Middleton×Orvilleの組み合わせ。

■Pocahontasは、Glencoe×Orvilleの組み合わせ。

■The Flying Dutchmanは、Bay Middleton×Orvillina(Orvilleの全妹)の組み合わせ。
Orvilleの半弟Cervantesは、後にMelbourneを介してこのニックスに関わるが、単独では一枚足りなかった。また、Orvillinaと共にRouge Roseを通じてこのニックスに大きな役割を果たす。)

■Touchstoneは、Camel×Orvilleの組み合わせ。

CamelWhalebone≒Web(全兄妹)×Selimで、Bay Middleton、Glencoeと近似血統なのである。
Selimの兄妹も重要な役割を担っていて、特にBronzeは名門の祖となるが、初期にはWhalebone兄妹がなかなか入ってこなくてやきもきする。)

Touchstone、Cowl、My Dear、Miss Ann、Pocahontas、The Flying Dutchman、Planet2は、

(Whalebone≒Web×Selim)×Orville≒Orvillina

という血脈を共有する近似血統と言える。
つまり、

Touchstone≒Cowl≒My Dear≒Miss Ann≒Pocahontas≒The Flying Dutchman≒Planet2

ということである。

途中だけど、疲れたので次回<(_ _)>

追記:本論には直接関係しないので、触れないでスルーしてるSelimの兄妹、Orville兄妹関連、Young Giantess関連どうしようか考え中。



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tag : 配合 ニックス 競馬 ドサージュ

新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(14)

Pocahontasの子孫が、Touchstoneを持つ血統配合されて名馬となった例は枚挙にいとまがない。
取り敢えず、Stockwellの仔DoncasterLord Lyonを挙げておく。
その他の馬は機会があったら触れるかも知れない。

今回はPocahontasと近似で重要な馬を見てみたい。

The Flying Dutchman
the-flying-dutchman2.jpg

Pocahontas
pocahontas4.jpg

The Flying DutchmanはGalopinの母父である。
と言うことはあまりに著名なあの名馬は、
The Flying Dutchman≒Pocahontasニアリークロスを持つことになる。

St.Simon
st-simon.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

昔から不思議に思っていたことがある。
それは、「○○血統には△△血統が合う」とよく言われるが、その代表産駒や最良の後継馬はそれに当てはまらないことが多い。

それはさておき、話を元に戻して整理すると、

Cowl≒My Dear≒Miss Ann≒Pocahontas≒The Flying Dutchman

であり、これにTouchstoneをプラスした近似血統が、

Scottish Chief≒The Palmer=Rosicrucian≒Hermit=Chanoinesse≒Sterling≒Araucaria≒Plutus2

となる。






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tag : 血統 配合 ニックス インブリード 近似 ニアリークロス

新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(13)

今まで見てきたニックスの要素、「TouchstoneとCowl」の分析に入る前に、CowlとニアリーイコールなPocahontasについてもう少し見てみたい。

言わずと知れた「繁殖牝馬の皇后」。StockwellRataplanKing Tomなど名馬にして名種牡馬達や、IndianaAyacanoraAraucariaなどの名繁殖牝馬を出した。

Touchstone×Cowl(≒My Dear≒Miss Ann)のニックスが成立し、それが似通った血の組成のインブリードによる良好な遺伝因子のホモ化に起因するならば、Cowl≒Pocahontasである以上、Touchstone×Pocahontasのニックスだって成立するはずだ。
ならば、PocahontasにTouchstoneをかけた馬が名馬であれば話は簡単だ。そんな馬が居るだろうか?

Ambrose×PocahontasのAutomaton
父のAmbroseは、Touchstoneの直仔と言う以外、競争成績など詳しいことは解らない。
デルマによれば、後のダービー馬で名馬にして名種牡馬Macaroniを堂々破っている。
この馬をもってTouchstone×Pocahontasのニックスの証明としたいが、単なる早熟馬だった可能性もある。早逝したのが残念だ。
そうした理由から、とりわけ僕の興味を引くのは皇后最後の娘Araucaria。Automatonと全兄妹だ。

Araucariaはデルマによれば7戦1勝と平凡な成績。
しかし、繁殖としては母に劣らず素晴らしい成績を残した。
WellingtoniaAjaxTraceryの血統上、重要な役割を果たしている。父のChattanoogaはAraucariaの甥にあたり、Touchstone×Pocahontasの強いクロスが特徴的だ。
Chamantは2000ギニーに勝ち、ドイツ血統成立の上で重要なSaphirを出した。
Rayon d'Orはセントレジャーや数多くの大レースに勝ち、アメリカのリーディングサイヤーになった。
他にも1000ギニー、オークスに勝ったCameliaも出している。

ただ、幾ら優れた繁殖成績であろうとも、僕のニックス理論では、近似血統のインブリードが行われたときに良好な結果が起こってこそ、なので、Araucaria自身は名競走馬ではないからニックスの証明にはならない。
また、Wellingtoniaは種牡馬成績は良くとも競争成績が解らないので何とも言えない。
Wellingtoniの父のChattanoogaもTouchstone×Pocahontasであり、クリテリオンS勝ちがあるがそれ以上のことは解らない。
しかし、Rayon d'Orは一定証明の材料になる血統の持ち主かも知れない。下は祖父Plutus2の血統表。

Plutus2
plutus2.jpg

ご覧の通り、Plutus2はTouchstoneを持ち、その母父Planet2はBay Middleton×Emiliusで、

Planet2≒Pocahontas ∴Plutus2≒Araucaria

ニアリークロス2×1になる。

Rayon d'Or
rayon-dor.jpg
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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(12)

では、「ニックス」とは組成が良く似た血統同士のインブリードなのか?
ただの相似配合なのだろうか?僕は違うと考えている。

「Touchstone」と「Cowl≒My Dear≒Miss Ann(≒Pocahontas)」

をもう少し深く検討してみたい。
でもちょっと、どこから書いて良いのか解らなくなって来たのでしばし休憩<(_ _)>

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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(11)

ここでもう一度問いたい。「ニックスとは何だろうか?」

僕は、「ニックスとはインブリードである。」

補足として
「インブリードの弊害を避けるため、近似血統の運用まで含めた」と仮定したい。

ただ、サラブレッドのインブリードに本当に弊害が有るのか、と問われれば、僕には判らない。
古今、多くの馬産家や専門家の議論も僕なりに把握しているが、それなりに根拠があり評価は難しい。
例えばテシオは著書において否定的な見解を述べている。
(でも、テシオは結構強いインブリードをしてる。BotticelliとかBurne Jonesとか買ったのならDuccia di Buoninsegna。単純に△×△とか血量とかではテシオは分かんないだけど。)
ただ、彼は豊富な経験を持つが学者ではない。実地に得られた知識は大いに評価されてしかるべきだが。
参考までに、クワガタのような昆虫でも意見は分かれるようだが、多くは否定的に捉えられている。
やはり有性生殖のメカニズムを考えると、否定的に考えるほうが理に適うのではないだろうか。
ただ、近親繁殖そのものが有害なわけではないと思う。
近親繁殖において、好ましい因子のホモ化による固定化だけが行われるわけではなく、有害な因子の固定化も行われる。
そして有害な因子の除去の為に淘汰が行われる。
馬のような動物の場合、野生では近親繁殖は普通に行われるだろうし、結果、長い野生時代に致死因子はとうに淘汰されていると思う。
しかし、サラブレッドのように雑種で、あくまでも生存の為ではなく競馬に適した因子を固定化したい場合、興奮しやすい性質であるとか、反抗的、臆病な性格、野生ではさほど生存に影響しない身体的欠陥(足曲りなど)のような因子はまだ充分な淘汰をくぐり抜けていない為、それらが有用な因子と分離されず固定化されるので、近親繁殖の際に弊害があるように見えるのではないか。

かくして、育種において好ましい因子は固定化したいが、累代の弊害を避けたい。このジレンマを一定解消するために、意図的にか、神の見えざる手によってか、近似血統の活用が歴史的に行われた。
そして、二アリークロスによるインブリードが良好な結果を生み出したときに「ニックス」と呼ばれたのではないだろうか?

今まで見てきたとおり、近似血統を活用したインブリードは2×2などの強度の場合でも、対象馬が5代血統表の外へ移動してしまうため、一見すると気づきにくくなる。
「5代」という数字にはさして意味は無いが、扱いやすい大きさの紙の上で血統表を書くと、このくらいが一覧性という紙の利点の限界のように感じる。
その点、ヴィリエや五十嵐氏(たぶんテシオ、オルストン場長、ウェバートリー卿、ブサック、エドモン・ブラン、オリン・ジェントリーなども)は、どんな場所でどんな大きさと枚数の紙を使って血統表を書いたのかとても興味深い(ヴィリエの仕事を考えると気が遠くなる…)。

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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(10)

Pocahontas
pocahontas.jpg

Cowl
cowl.jpg

先に触れたPocahontasとCowlの血統表を見て欲しい。
そして下はGlencoeとBay Middletonの血統表だ。

Glencoe
glencoe.jpg

Bay Middleton
bay-middleton.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

こうしてみると、

Glencoe≒Bay Middleton
Muley≒Priam
∴Pocahontas≒Cowl

であり、PocahontasとCowlはニアリーイコールなのが解る。と言うことは、

Pocahontas≒Cowl≒My Dear≒Miss Ann

とも言えるだろう。




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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(9)

White Eagle
white-eagle2.jpg

White Eagleはウェバートリー卿(ホール・ウォーカー)の生産馬で、一流半から二流の競走馬だったが、自家繁殖に供され父のGallinuleと同様に後世のサラブレッド血統に大きな影響を残した。
その配合は、通常Isonomyの強度のインブリードが目立つが、父の持つIsonomyとHermitのニックスを『増幅する形』になっている。

Marie Stuart
marie-stuart.jpg

3代母Marie Stuartは、オークスに勝ち、セントレジャーでDoncasterを破った大変な女傑だ。
その母系はDiversionから出た名門で、半妹Lady Morganも多くの名馬・名種牡馬の祖先となった。
そしてMarie Stuartは、例によって「TouchstoneとCowl」の組み合わせを持っている。
しかし、よく見るとMarie Stuartの父Scottish Chiefの母Miss Annは、CowlのキーホースBay Middletonを持っている。
さらによく見ると、Cowlのいま一頭のキーホースPriamと3/4同血となるMuleyまで持っている。
つまり、Miss Annは、Cowlとニアリーイコールであり、Marie StuartはMiss Ann≒Cowlを2×2という強いインブリードで持っていると言える。

Cowl≒My Dear≒Miss Ann

また、Scottish Chiefは、そのMiss AnnにTouchstoneの仔をかけて生まれたので、

Scottish Chief≒The Palmer=Rosicrucian≒Hermit=Chanoinesse≒Sterling

となる近似血統馬ということが言えるだろう。

White EagleはSterling≒Hermit≒Scottish Chief3*3×4*4で持っている。

または、Gallinule×Mary Seatonという近似血統の1×2と言うべきか。

通常、ドイツ型の系統繁殖などでは、自牧場の基礎牝馬や理想とする血脈の強い種牡馬が自家繁殖に供される(山野浩一氏が「優駿」で連載されていた、「血統理論のルネッサンス」が面白い。新橋のPRセンターの図書室でコピーしたものを今でも持っています)。
その場合、もちろん競争成績は良いに越したことは事はないが、むしろ血統や馬体などが重視される。
例えば、ダービー卿のChaucerも決して誰もが認める名馬と言うわけでは無い。
しかし、それ故にChaucerの持つSt.SimonやCanterbury Pilgrimの血脈を理想と考え、それでハウス血統を作っていこう、と言う強い意志が読みとれる。
こうした種牡馬は外部から導入した牝馬や、外部の種牡馬を付けて特殊化した牝馬を自家血統に近づける為や、優秀な牝馬の特性を出来るだけ壊さないように次世代に繋ぐ為に用いられる(前出「血統理論のルネッサンス」)。
そういう役割を担った種牡馬White Eagleがこういった血統を持ち、また、Serenissimaの血統を鑑みると、ウェバートリー卿の意図が

Scottish Chief≒The Palmer=Rosicrucian≒Hermit=Chanoinesse≒Sterling

ここにあったのは間違いないように思う。
ただ、いま一頭同様の役割を持っていたと考えられる、Royal Realmの血統を合わせて考えるとそれだけでは「ウェバートリー卿の意図」はまた遠ざかってしまう。
おそらく、Galopin×Hamptonのテシオも言及しているニックスに基づいているのだろうが、問題が複雑になるので今は触れないでおく。

Priam
priam.jpg

Muley
muley.jpg
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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(8)

ただ、Minoru、Serenissimaの配合デザインはオルストン場長ではなく、ウェバートリー卿なのだと言うことがまた興味深い。そして、Gondoletteはウェーバトリー卿の生産ではなく、Henry Waringなる人物の手によるらしいがこれもまた興味深い。
おそらくウェバートリー卿は、生年から考えてMinoruに配合するためにGondoletteを買ったはずなのだが、種付けだけしてダービー卿に売却したことになる。その頃牧場を国に寄贈して生産から手を引いているので、十分な成功を収め競馬に興味を失ったためかも知れないが。
ウェバートリー卿(ホール・ウォーカー)は神秘的な人物像ばかりが取り上げられ、その血統理論の研究は十分になされていないように感じる。
短期間に自家生産馬でイギリスのクラシックを全て勝ち、古馬の主要レースもほとんど制している。
それだけでも驚異的なのに、SerenissimaやBig Gameの祖母、Chamossaireの3代母Dolabellaを配合・生産し、リーディングサイヤーBlandfordの母であり、Sun Chariotの3代母のBlancheを生産し、Princequilloの父系祖先とおそらく母系祖先を生産し、また、重要なブルードメアサイアーCharles O'Malleyを生産している。彼の存在がなければDalmaryの誕生も無かっただろう。
さらにアガ・カーンに血統コンサルタントとしてヴィリエを推奨し、競馬参入に大きな影響を与えたとされている(「名馬の生産」エイブラハム・S・ヒューイット著、「クラシック馬の追求」ケン・マクリーン著)。
サラブレッド生産史上、最も配合の秘密に近づいたのは彼ではなかったか。

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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(7)

Canterbury Pilgrimは、ダービー卿が生産を始めるに当たってモントローズ公爵夫人のオークションで買い求めたもので、オルストン場長がダービー卿に請われて就任する以前の事であるので、就任後オルストン場長はダービー卿の繁殖牝馬をつぶさに研究し、この配合パターンを後の血統の基盤として選定したのだと思われる。
実際、就任後に一風変わった経緯によってウェバートリー卿から購買されたGondoletteもこの配合パターンを踏襲している。
一般には、父Loved Oneの母Pilgrimageのラインブリードを行うための布石と考えられているようだが。

Gondolette
gondolette2.jpg

Gondoletteがウェバートリー卿からダービー卿に買われたとき、ウェバートリー卿が生産したMinoruの種を受胎していた。
そして生まれたSerenissimaは、やはり優秀な競争成績と繁殖成績を修め、ダービー卿の重要な基礎牝馬となった。

Minoru
minoru.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

Minoruの3代母Mother Superiorは、Hermitの全妹ChanoinesseとSterlingの間に生まれているので、Chanoinesse≒Sterlingのニアリークロスとなっている。
通常のインブリードならば1×1というあまりに強度のインブリードとなるところだが、近似血統による配合のため、見かけ上はTouchstone4×3、Bay Middleton5×5、Whalebone5×5という相似配合で、現代にあっても普通の強度のクロスになっている。
そのMother SuperiorにGalopinを一代はさみ(配合上のキーホースのBay Middletonは重ねられる)、Hermitの仔Friar's Balsam(Touchstoneがもう1枚、母系から重ねられる)、母がHermit≒Sterling2×2でIsonomy×Hermitのニックスを持つArcadiaというCylleneと累代され、Minoruは生産されている。
つまりMinoruは、

Arcadia×Mother Superiorという近似血統2×3とも言える。

そのMinoruをGondoletteに交配して生まれたのがSerenissimaであり、

The Palmer=Rosicrucian≒Hermit=Chanoinesse≒Sterling

という、

「Touchstone」と「My Dear≒Cowl」

の組み合わせの近似血統を、5*5*4*5*5×4*4(クロスの表記は笠雄二郎氏の提案する表記にしています)の強度で幾重にも積み上げている。
このような基盤があったかからこそ、同様のパターンが作られたCanterbury Pilgrim牝系と出会うことでGondoletteからSansovinoが、SerenissimaからSchiavoniTranquilSeleneが生まれ、Hermit=Chanoinesseの3/4妹Reticence(もちろんTouchstoneとCowlを持つ)を母系に持つSon-In-Lawから、Bosworthを輩出できたと思われる。
単なるPilgrimageのインブリードでは不可能ではないだろうか?

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新しい(かも知れない)配合論~Donatelloを題材に(6)

TouchstoneとCowl(≒My Dear)の組み合わせはよく見られる。
特にダービー卿やウェバートリー卿(ホールウォーカー)の血統に多く、前者は明らかにそれを基盤として血統を育てている。おそらく配合コンサルタントのオルストン場長のデザインだろう。
例えば、基礎牝馬Canterbury Pilgrimの母の父The Palmer
また、同じく基礎牝馬Gondoletteの祖母の父でThe Palmerの全兄弟Rosicrucian

The Palmer=Rosicrucian
the-palmer.jpg

Canterbury Pilgrim
Canterbury-Pilgrim2.jpg

swynford
swynford2.jpg
【SireLine for Windows Ver1.50 - Build 496】

Canterbury Pilgrimは父がHermitの仔Tristanだから、Hermit≒The Palmer(Touchstone×Cowl)のニアリークロスになっている。
普通のインブリードであれば2×2という強度の近親繁殖となり、リスクが高まるところだろうが、5代内ではTouchstone4×5、Cowl5×4というアウトよりのクロスになる。
その恩恵か、Canterbury Pilgrimは多少の気性難はあったようだが、優秀な競争成績と繁殖成績を修め、後世に大きな影響を与えた。
そして、Canterbury PilgrimにIsonomyの孫、John O'Gauntを配合することでこのパターンを積み重ねSwynfordを生産した(Sterling≒Hermit≒The Palmer)。
こうした近似配合馬によるクロスは、望ましい因子(TouchstoneとCowl)を固定化しつつ、リスクを回避する巧みな方法と言えないだろうか?

テーマ : 競馬【各種分析】
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岸辺円六

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